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 しげの秀一原作『MFゴースト』(講談社『ヤングマガジン』連載中)の2023年TVアニメ化が決定した。

 『MFゴースト』は『ヤングマガジン』にて1995年から2013年まで連載され“公道最速伝説”を描いた『頭文字D』の近未来の世界観を受け継ぎ、86を中心にGT-Rやポルシェ、フェラーリ、ランボルギーニなど世界各国のスポーツカーが、実在する公道でのカーレースバトルを描いている。

 2022年1月4日には『MFゴースト』のアニメ化を記念し、ティザービジュアルが公開された。

 さらに特報PVも公開。この特報PVには本作のアニメ化にあたり、実車を使用した音声収録を実施。特報映像内に登場するそれぞれのクルマには生の収録音が反映されており、もちろん今後、アニメに登場するクルマにも実際の走行音や効果音が使用される予定。

『MFゴースト』アニメ公式HP

『MFゴースト』アニメ公式Twitter

 『MFゴースト』アニメ化にあたり、実車の音声収録が2021年12月某日、JARI(日本自動車研究所)城里テストコースで行われるというので、ベストカーwebが同行取材! 

 当日、音声収録のため、JARI城里テストコースに集められた国内外のスポーツカーは計8台、総額約2億円に達する。

 第1回は日産GT-R NISMOとポルシェ911GT3(991型)の2台について、テストドライバーを務めた武井寛史氏によるインプレッションをお届けしよう。

文/プリウス武井
写真/森山良雄 小林邦寿 
音声収録メイキング動画/音速ムービーズ
撮影協力/講談社、エイベックス・ピクチャーズ
車両協力/ポルシェ718ケイマンS:BEAVERS(ビーバーズ)、ロータスエキシージS:オーセンティックカーズ、フェラーリ488GTB:ロペライオ、 ランボルギーニウラカンSTO:ランボルギーニ・ジャパン
©️しげの秀一・講談社/MFゴースト製作委員会

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■JARI城里テストコースにて本物の車両を使った音声収録が行われた

 音声収録当日は、『MFゴースト』に登場するクルマのドアの開閉音から、実車のエンジン音、エキゾーストノート、加速シーン、ブレーキングなど多岐にわたって、車外、車内から音声を収録した。

 こうした実車の走行音を使用することで、CGで描かれたクルマの迫力が増す臨場感溢れる映像となり、リアル感がビシビシ伝わってくるのでクルマファンとしては嬉しいかぎり。

 世界のスポーツカー計8台をドライブしたのは、レーシングドライバーの武井寛史氏。レーシングスーツに着替えて音声収録がスタートした。

2021年12月某日、茨城県にあるJARI(日本自動車研究所)城里テストコースに計8台のスポーツカーが、TVアニメ『MFゴースト』の音声収録のために集結
エンジンフード内側、エキゾースト付近、コクピットなど各所に音声収録のためのマイクやカメラが設置された
ランボルギーニウラカン走行シーンの音声収録風景
ベストカー本誌連載「スーパーカー劇場」でお馴じみのレーシングドライバー、武井寛史氏がテストドライバーを務めた

『MFゴースト』音声収録メイキング動画(製作/音速ムービーズ)

■日産GT-R NISMO/『MFゴースト』登場キャラクター・相葉瞬

JARIの名物、バンクを走る日産GT-R NISMO
NISMO専用チューニングによるVR38DETT型3.8L、V6ツインターボエンジンは600ps/66.5kgmを発生する

 最初に音声収録したのは日産GT-R NISMO。『MFゴースト』では重要なキャラクター・相葉瞬(あいばしゅん)。ライバルであるカナタを陰ながらサポートする兄貴的存在の相葉が駆るのはNISSAN GT-R NISMOだ。日本車で唯一、スーパーカーと互角に戦えるのがこのGT-R NISMOといえる。

 相葉がドライブするのは2017年式の限定モデル。GT-R NISMO専用のVR38DETT型3.8L、V6ツインターボエンジンは、最高出力600ps/6800rpm、最大トルク66.5kgm/3600~5600rpmを生みだす。

 そのポテンシャルは高く、停止状態からのフル加速はバカっ速! 約10秒で200㎞/hまで達するポテンシャルはまさにスーパーカー。デュアルクラッチのトランスミッションの完成度も高くシフトアップではタイムラグはほぼ感じることはない。

 アクセル全開で走らせたGT-Rの印象は、230km/hを超えたあたりからは空気抵抗が増えて加速が鈍る。

 前面投影面積が大きいから空気の抵抗をもろに受けるが300km/hオーバーで走行するポテンシャルは持っている。高いスピード域で空力が破綻することはなくて安心してバンクに飛び込んでいけるのは凄い。

GT-R NISMOのコクピット。ステアリングは専用のアルカンターラ製。トランスミッションはGR6型デュアルクラッチ。もちろん室内にも音声収録の機器が取り付けられた
フロントシートは、専用RECARO製カーボンバックバケットシート

 ちなみにドライビングシートはバケットタイプでホールド感は抜群だが、MFG車両のなかではドライバーズシートからの目線が最も高いことも付け加えておこう。

 相葉が駆るGT-R NISMOのサスペンションはビルシュタイン製のダンパーが装着さていて当時、最新技術とされた「ダンプトロニック」が採用されている。

 これは路面状況に合わせ減数力を最適にコントロールする優れモノ。サスペンションのポテンシャルと専用タイヤの効果でしっかりと路面を捉えている感覚がドライバーにも伝わってくるから危なげなく攻められる。

 2017年モデルのGT-R NISMOは熟成の域に達しているので、ネガティブなところは改善されていて、完成度は高いが、落とし穴があるとすればブレーキだ。

 一般道では多少攻めた走りであればキャパシティは十分にある。パワーがあるぶんトップスピードに達するまでは速いが、その反面、コーナーの進入では早めにブレーキを開始しないと停まらない。

 MFGではタイヤがコントロールされているので、コーナーの進入で十分に車速を落とす必要もある。そのため作中でもブレーキングでライトウェイトの車両に並ばれるという屈辱を味わう結果になる。

 GT-R NISMOのスペックは申しぶんないが、実重量は1800㎏を超える。車両重量が重いというのはかなりのハンディキャップだ。

 4WDシステムでトラクションを得て路面を捉え加速するのがGT-Rの真骨頂だが、コントロールタイヤを履くMFGのレギュレーションにどう対峙するか相葉の才能が重要となる。

 本来、イケイケのドライビングの相葉は終盤までタイヤを温存できるかが勝敗のカギを握る。

GT-R NISMO登場シーン、『MFゴースト』12巻22話より

■ポルシェ911GT3(991型)/『MFゴースト』キャラクター・石神風神

音声収録した取材車は991型GT3後期モデルで500ps/46.9kgmを発生する4L、水平対向6気筒エンジンを搭載。『MFゴースト』で石神風神が操るのは2013年式の911GT3。475ps/44.9kgmを発生する3.8L、水平対向6気筒エンジンに7速PDKを組み合わせる

 MFGの絶対的王者・石神風神(いしがみふうじん)。彼がドライブするマシンがポルシェ911GT3だ。911シリーズ7代目となるのが991型で石神が駆るのは2013年に発表された前期モデル。

 475馬力を発生する3.8L、水平対向6気筒エンジンを搭載。最高出力は8250rpmで発生させる高回転型エンジンが魅力。今回の音ロケに使用した車両は、あえて4Lエンジンを搭載する後期モデルをキャスティング。

 コクピットは高級感もありながらストイックなレーシングカーの雰囲気を残す。シートは着座位置が低く、ドライビングポジションからの目線は市販車のそれではない。背もたれと座面左右がせり上がった形状でドライビングシートひとつとっても特別なポルシェなのだ。

5つのメーターが並ぶコクピット。センターのタコメーターは9000rpmがレッドゾーン、1万rpmまで刻まれている。トランスミッションは7速PDK(DCT)
GT3専用のバケットシートを装備する

 この日の外気温は3℃。太陽は出ていたが路面温度は氷のように低く、タイヤがグリップするまでに暖めることは難しかった。それでもポルシェがトラクションマシンだと実感した。

 停止状態からのフル加速では、トラクションコントロールの介入も手伝って、500馬力というビッグパワーにも関わらずリアタイヤは軽く空転しただけで路面を蹴って即座に加速状態に入る。

 ステアリングの応答性はクイックで文句の付けどころはない。コーナーの進入でステアリングを切ればリニアに反応して旋回状態に入る。

 フラットな路面のクローズドコースでは最高のサスペンションだけど、一般道では動き出した瞬間から、ボディ剛性の高さなのか足はゴツゴツとして硬い印象。とはいえタイヤが路面を捉えている感覚が常にあるから安心してアクセルが踏めるのがポルシェというクルマだ。

 ストレスなくドライビングに集中できるのはブレーキ性能も貢献している。ペダルタッチがカチッとしたフィーリングで踏めばダイレクトに反応。前後バランスもよくて四輪がちゃんと制動している感覚がある。

JARI高速周回路で抜群の安定感を見せた911GT3

 さらにGT3の魅力は高速走行時の安定感。ドイツのアウトバーンで鍛えてきただけあってひと味違う。日本自動車研究所の高速周回路でも280km/hまでは風の抵抗も感じないほど力強い加速を体感できた。市販車モデルのスポーツカーとしては別次元のポテンシャルだと改めて感じた。

 ここまでくるとGT3は盤石かと思う。しかし、そうとも言えないのがMFGの絶妙なルール。ここでもコントロールタイヤが大きな要素になる。本来、トラクションでコーナーを立ち上がっていくポルシェだけど、タイヤがグリップしなければ、その特性も生かすことはできない。

 石神風神の経験値とマシンポテンシャルは相当な武器となるが、王者ならではのメンタル面が見どころでもある。石神にはGT3RS投入という決断も残されているだけあって注目のキャタクターだ。

ポルシェ911GT3登場シーン、『MFゴースト』1巻4話より

 第2回:ポルシェ718ケイマンS/アルファロメオ4C/ロータスエキシージ。第3回:ランボルギーニウラカン/フェラーリ488GTBに続きます、お楽しみに……。

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■TVアニメ『MFゴースト』放送情報:2023年放送予定
■スタッフ
原作:しげの秀一(講談社『ヤングマガジン』連載)
■『MFゴースト』とは・・・
『MFゴースト』は、しげの秀一原作にて、2017年より『ヤングマガジン』(講談社)で連載中の漫画作品。単行本の累計発行部数は320万部を突破。同じく『ヤングマガジン』にて1995年から2013年まで連載され“公道最速伝説”を描いた『頭文字D』の近未来の世界観設定にて、実在する公道でのカーレースバトルを描いている。2022年1月6日(木)から、原作コミックス最新巻、第13巻が発売中!
■イントロダクション
『頭文字D』より未来、西暦202X年。車の自動運転が普及した日本。そんな時代に、公道の自動車レースが開催されていた。世界中で人気を集めるレースの名はMFG。ポルシェ、フェラーリ、ランボルギーニなど最速を誇るマシンが次々に参戦していた。一方、イギリスのレーシングスクールを卒業したドライバー、カナタ・リヴィントンは、ある目的を果たすため日本に帰国するのであったー。

『MFゴースト』アニメ公式HP

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原作公式HP

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