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 東京オートサロン2022に参考出品されたルノーの新型クーペSUV、「アルカナ」。その導入開始のカウントダウンを迎えた。アルカナはルノーの世界戦略車のひとつだが、クーペSUVやストロングハイブリッドなどの新たな魅力を武器とする新開発モデルとなっている。

 ずばり、ルノーが今まで獲得できていなかったハイブリッド車とスペシャルティカーのニーズ獲得を狙った野心的なモデルなのだ。そんな新型車「アルカナ」について紹介しよう。

文/大音安弘、写真/ルノー・ジャポン

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■フランス発お洒落でスポーティなクーペSUV

 ルノー・ジャポンは2022年2月24日、新型コンパクトクーペSUV、「アルカナ」を同年5月26日より発売することを発表した。右ハンドル仕様となり、価格は429万円だ。

ルノーの初となるクーペSUV、「アルカナ」の日本導入が発表された

 アルカナは、日産と共同開発したプラットフォーム「CMF-B」をベースとしたコンパクトなSUVだ。プラットフォームから推測すると、Bセグコンパクトを想像するが、このプラットフォームは、Cセグメントまでをカバーするもの。

 実際のボディサイズも全長4570×全幅1820×全高1580mmとなり、現行型日産エクストレイルに近い存在だ。しかも全長はややショートながら、ホイールベースが2720mmと、少しロングとなっているのもポイントだ。つまり、車室内の広さがしっかりと確保されていることを示している。

ルノースポールの由来のキャラクターを持つ「R.S.ライン」のみの展開だ

 スポーティなエクステリアは、SUVの機能とクーペの優雅さを兼ね備えた都市型クロスオーバーとしてデザインに仕上げられている。そのため、全高を抑えた流麗なルーフラインを備えながら、最低地上高200mmを確保。

 その躍動感にあふれたフロントマスクは、新世代ルノー車のアイコンであるCシェイプのランプデザインとF1から着想を得たというフロントブレードは、R.S.モデルとも共通するアルカナのアイコンだ。

 リアテールも、スポイラー内蔵デザインと水平基調のシャープなリアコンビネーションランプが安定感ある走りへの予感とクーペSUVにふさわしいクールなリヤビューを実現している。

■R.S.ラインデザインのコックピット

 インテリアは、ルノーのスポーツフラッグシップである「R.S.(ルノースポール)」由来のR.S.ラインデザインを取り入れたもの。ドライバーを中心にデザインされたダッシュボードとドアトリムには、カーボン調パネルとレッドラインのアクセントが備わり、スポーティな雰囲気を強調。

 レザーステアリングやレザー×スエード調のコンビシートなどがビジュアルと触感の両面で質感を高め、さらにシートベルトにもレッドステッチが施されている。

ドライバーを中心にデザインされたコックピット。R.S.ラインの特徴となるレッドラインなどの装飾がスポーティなキャラクターを際立たせる

 ダッシュボード中央には、ドライバー側を向いた7インチのタッチスクリーンが備わり、スマートフォンをUSBポートに接続すると、Android AutoとApple CarPlayを介して、ナビゲーション機能などのスマホアプリを活用することが出来る。

 また、ホイールベースもしっかり確保されているため、キャビンも、Cセグメントカーにふさわしい広々した印象だ。

Cセグクラスとなるキャビンは、前後席間もゆとりがあり、広々している

 ラゲッジスペースは、標準で480Lを確保。ラゲッジフロアは、2段式構造となっており、床下収納や荷室高さの調整、6:4分割可倒式リアシートによるラゲッジスペース拡大にも役立つ。

 さらに前後席のカップホルダーを完備し、快適なロングドライブが楽しめるように配慮されている。

■輸入車初となるストロングハイブリッド

 メカニズム最大のハイライトは、ハイブリッドシステム「E-TECH HYBRID」の搭載だ。輸入車初となるストロングハイブリッドタイプで、2基のモーターと69kW(94ps)/148Nmを発揮する1.6L4気筒DOHCエンジン、電子制御ドッグクラッチマルチモードATを組み合わせたシステムだ。

ルノー初のストロングハイブリッド、「E-TECH」を搭載する

 パワーユニットは、メインとなる36kW(49ps)/205NmのEモーターに加え、スターターとジェネレーターの役目を担う15kW(20ps)/50NmのHSGを備え、発進時と低速域は電気モーターのみで走行。

 中速域では、モーターとエンジンを最適に組み合わせ、高速域では巡行時はエンジンがメインとなり、追い越しなど加速時にはモーターがアシストするもの。モーターとエンジンを結ぶATは、モータースポーツで活用されるドッグクラッチを採用し、軽量化とコンパクト化を図っているのが特徴。

 ギアもモーター側にふたつ、エンジン側に4つのギアを備えることで、それぞれからの動力が切れ目なく、効率的に引き出せるようになっている。このハイブリッドシステムの開発には、ルノー/アルピーヌF1チームの経験とノウハウが活用されているという。注目される燃費消費率は、22.8km/L(WLTCモード)と公表されている。

■充実装備のモノグレード仕様に

 アルカナのラインアップは、前輪駆動仕様のハイブリッド車のみで、トリムレベルも「R.S.ライン」のみに。ただし、メーカーオプションの設定もないため、充実の内容を誇る。

 時代が求める先進の安全機能は、ストップ&ゴー機能付のACC、車線中央維持支援、車線逸脱防止支援、車線逸脱警報、歩行者及び自転車対応の衝突被害軽減ブレーキ、360度カメラ、前後と側面のパーキングセンサー、後側方車両検知警報、オートハイビーム、交通標識認識機能など、幅広い機能を備える。

 さらに前後のLEDライト、18インチアルミホイール、前席とステアリングのヒーター機能、アンビエントライト、自動防眩式ルーフミラー、スマートフォンワイヤレスチャージャーなども標準化されている。

ステアリングヒーターやワイヤレスチャージングなど装備も充実

 マイルドハイブリッドとPHEVが投入される輸入車のなかで、初となるストロングハイブリッドを投入されたアルカナは、燃費効率に優れるだけでなく、日本でも扱いやすいサイズに加え、輸入車で人気の高いクーペSUVの中では廉価であることなどの強みを持つ。それだけにルノーの期待も大きい。

 しかし、ルノーラインナップのなかでは、メガーヌR.S.に継ぐ高価格車となっており、幅広い層に向けたルノーのフラッグシップといえるポジションにある。経済的なハイブリッドとスタイリッシュなクーペSUVデザインが、どのように日本で評価されるのかも興味深いばかり。

 まずは先行展示及び試乗イベントが予定されており、4月23、24日の東京・代官山会場を皮切りに、大阪(4月30日~5月1日)、福岡(4月30日~5月1日)、名古屋(5月7日~8日)の全国4都市で実施が告知されている。なお、試乗については、事前の専用サイトからの申し込みが必要だ。

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