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 日本で輸入車はドイツ車を中心としたヨーロッパ車に人気がある。しかしそんななか、アメリカンブランドで近年好調な販売を続けているのが「ジープ」だ。

人気ブランド、ジープの魅力はどこにあるのか? 2021年12月に日本に上陸した新型グランドチェロキーLの試乗レポートとともに、ジープの最新ラインナップ・6モデルの魅力をチェックしていこう!

※本稿は2022年2月のものです
文/小沢コージ
写真/西尾タクト、ベストカー編集部、FCA
初出:『ベストカー』2022年3月10日号

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■ジープ新型グランドチェロキーLに試乗!

 コロナ禍で各ブランドが苦戦するなか、見事絶好調をキープする奇跡の輸入ブランドを解説しよう。アメリカの本格SUVメーカー、ジープだ。

 ジープの日本販売は9年連続で右肩上がり。特に2021年は1万4000台で過去最高。

 なかでも売れ線の筆頭は元祖硬派4WDのラングラーで、お次はカジュアルなレネゲード、扱いやすいサイズのコンパスへと続くが、実はそれらに続く伝統のプレミアムSUVがグランドチェロキーだ。ご存知、元祖乗用SUVたるチェロキーの豪華サイズアップ版で、日本でも1993年に初代が発売。

 そしてついに2021年、約10年ぶりに待望の5代目が上陸した。今回の新型はズバリ正常進化を超えている。ある意味、コンセプトチェンジ並みの変貌を果たしてるのだ。

 それはグラチェロ史上初のロングホイールベースモデルたる3列シート仕様の「L」の追加だ。しかも通常の標準ボディの前にコチラが上陸。ほとんど「四駆の皮を被ったリムジンか?」と言いたくなるほどのサイズアップ&ゴージャス化を果たしている。

全長5mを超えるボディをもつ3列シートSUVのグランドチェロキーL

■ボディサイズは都会で乗るとやはりデカい!

 早速、小沢もグランドチェロキーLに乗りこんだがまずはサイズ感にビビる。全長5m突破の5.2m。全幅も4.4cm増しの1.98m。初代チェロキーは全幅1.8m以下だったので見違えるほどデカい。

 オマケにホイールベースが3m9cmあって、最小回転半径はなんと6.3m!! なので狭い都内で曲がらない曲がらない。駐車場じゃ切り返しの嵐で己の運転力が問われるのだ。

 一方、見た目のワイルドかつ本物感はまさにジープ直系。アメリカンなサイズもさることながら、伝統の7本スロットグリルは元祖ゴージャスジープたるワゴニアのイメージ。イマドキの空力デザインではなく、逆スラントしたノーズが超ワイルド。この時の流れを無視する武骨さがジープだ。

 また、余裕のボディサイズもあり1〜2列目席は広い。フロアが高くなるラダーフレームボディじゃないぶん床も低めだ。

 唯一残念なのが2列目より床面が高い3列目シートでシート長は普通にあるが、ひざ下が低く、大人が座るとモモ裏が浮いてしまう。ここはやはりミニバンには敵わない。

 ただし質感は高く、特に上級グレードのサミット リザーブは今までのアメ車イメージを超える上質なレザーと本木目パネルがリッチ。ミッドセンチュリー調とも言いたくなるオーガニックな風合いで武骨さとオシャレさが見事融合。

本木目パネルが採用され豪華な印象の上級グレード「サミット リザーブ」のインパネ。10.1インチのカーナビは標準装備

■王道ブランド力と最新技術の融合

 肝心の走り味だが新開発モノコックボディに2.2トンレベルの車重は物凄い。SUVレベルを超えた、高級リムジン並みの走り味が得られ、これまた本物感が凄い。パワートレーンは旧型譲りの3.6L V6+8ATでパワー&トルクは286ps&35.1kgm。燃費こそ期待できないが速さと滑らかさは充分以上。

 最新ジープの凄さは王道ブランド力と最新技術の融合にある。元祖クロカンメーカーのオーラを保ちつつ、最新クォリティを導入。要は努力や研究を惜しまない老舗菓子屋と同じ。一流パティシエを雇い続ける、とらやの羊羹ならそりゃ人気は落ちませんてね。

■新型グランドチェロキーLのほかの現行モデルの魅力は?

●ラングラー/704万~743万円

 元祖クロカン4WD、1940年代に生まれた軍用ジープの息吹を受け継ぐ唯一の新車、それが4代目ラングラー。

 本格4WDの証明、ラダーフレーム、前後リジッドアクスル、ボール循環式ステアリングを保ちつつ、昨今のSUVの快適化も取り入れ快適かつ便利に進化。2021年日本で7000台売れたのも納得で、若い30代が買ってるから驚く。

 魅力は本格派ならではのデザイン。バンパー、独立フェンダー、フレーム。どれを取ってもほかとは違う。

 乗り心地、インテリアの質感も大幅に改善され、ボディは屈強なラダーフレームを新作したうえでボンネット、窓枠、左右ドア、左右フェンダー、ドアヒンジをアルミ合金化。ラングラー初の2L直4ダウンサイジングターボ&8速ATにアイドリングストップまで標準装備。まさに伝統と革新の融合SUV。

●全長4870×全幅1895×全高1845mm●1960kg●2.0L直4ターボ(272ps/40.8kgm)●WLTCモード燃費10.0km/L(アンリミテッド サハラ2.0L)

●チェロキー/459万~509万円

 チェロキーは1970年代に生まれた元祖乗用クロスオーバーSUVで、1980年代の2代目モデルからはイマドキのモノコックボディ採用。日本でも三菱パジェロから始まった四駆ブームに乗って正規輸入が始まり、大人気を博した。一時期はホンダディーラーでも売ってたほどだ。

 現行5代目もカジュアルな魅力を保っており、最新ハイブランドSUV同様のモダンフォルムを採用した。特にジープ伝統の7本スロットグリルを鼻先のお飾り程度に小さくしてしまったのはビックリ。

 さらに驚異的な走りの上質化とインテリアの高級化もなされた。ボディ骨格は実はイタリアのアルファロメオ・ジュリエッタ譲りの横置きエンジンFFプラットフォーム。最新9速ATもあって当初JC08モード燃費は10.4km/L! この臨機応変さもチェロキーの魅力。

●全長4665×全幅1860×全高1725mm●1840kg●2.0L直4ターボ(272ps/40.8kgm)●WLTCモード燃費10.0km/L(リミテッド)

●コンパス/369万~492万円

 2006年に初代モデルが生まれたコンパクトな乗用SUVで、現行モデルは2代目。レネゲード同様、今や同じグループのフィアットとの共同開発でカジュアルな質感、サイズ、走り味が魅力。

 全長4420mm、全幅1810mm、全高1640mmはほどよいサイズで、2635mmのホイールベースはレネゲードから65mm延長したもの。フロントに横置き搭載する2.4L直4マルチエアエンジンもフィアット製。独自のスロットルバルブを配した高効率ユニットだ。

 走りはまさに乗用車ライクで快適。2021年6月にはマイナーチェンジを受けて、インフォテインメントシステムや運転支援もアップデート。ある意味、古典的なジープファンからすると軟弱に見えるかもしれないが、そこが逆にいい。

●全長4420×全幅1810×全高1640mm●1600kg●2.4L直4(175ps/23.4kgm)●WLTCモード燃費11.5km/L(リミテッド)

●グラディエーター/770万円

 まさにキング・オブ・ジープ! 日本が誇るランクルを超えるレベルの硬派4WD、ラングラーをベースにアメリカでしかあり得ないピックアップトラック仕様にしたクルマ、それがグラディエーター。

 2018年LAショーで発表された時には絶対日本に入ってこないでしょ? と思った巨大サイズが売りで、全長×全幅×全高は5600×1930×1850mmでホイールベースは3490mm。ラングラー・アンリミテッド・ルビコンより730mm長く、35mm高く、ホイールベースが480mmも長い。

 車名はローマ時代の剣闘士を意味し、大人5人が乗れる2列キャビン+ベッドサイズ荷台は見てるだけでも楽し過ぎ! エンジンはジープ最強の284ps/35.4kgmの3.6L V6でギアボックスは8速AT。買うのはプロレスラーか好きものに違いない?

●全長5600×全幅1930×全高1850mm●2280kg●3.6LV6(284ps/35.4kgm)●WLTCモード燃費 ― km/L(ルビコン)

●レネゲード/338万~555万円

 歴代最もポップでコンパクトなジープ、それがレネゲードだ。4ドアボディで全長4.2m台は民生ジープで一番短く、アメリカのクライスラーとイタリアのフィアットによる共同開発。4WDとFFがあり、同じプラットフォームを使うモデルにフィアット500Xがある。

 FF車の全長×全幅×全高は4255×1805×1695mmで4WD車は微妙に長くて背が高い。いずれにせよタイヤは標準で17インチと大きめで、ルーフレールはあえてプラスティッキーに見えるシルバー。いい感じでカジュアルさを演出し、前後ライトは「X」のカタチ。Xはジープ伝統の燃料を運ぶジェリー缶から取ったモチーフだ。

  エンジンは1.4Lツインエアと2.4Lシャークエンジン。最近PHEVモデルも加わったオシャレな都会派ジープ。

●全長4255×全幅1805×全高1695mm●1440kg●1.3L直4ターボ(151ps/27.5kgm)●WLTCモード燃費14.3km/L(リミテッド)
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