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アルファロメオ トナーレは、アルファロメオが電気自動車の未来に踏み出す最初の一歩となるモデルだ。275馬力のプラグインハイブリッドドライブを搭載したコンパクトSUVは、エコとスポーティの心を同時に満足させることを意味している。

新型アルファロメオ トナーレ: そのハイライト
• 2022年6月に30,000ユーロ(約396万円)前後から市場投入
• トナーレのビジュアルは、コンセプトカーに酷似
• コンフィギュレーション可能なデジタルコックピットを備えたインテリア
• 500リットルの収納スペースを持つラゲッジコンパートメント
• NFT技術により、すべての車両データを保存
• 最高出力275馬力のプラグインハイブリッドをエンジンオプションとして設定
• ディーゼルエンジン、マイルドハイブリッドエンジンも選択可能

2022年6月発売: 約30,000ユーロ(約396万円)から

コンセプトモデル発表から3年、アルファロメオはミラノで「トナーレ」を発表した。このコンパクトSUVは、ジュリア、ステルヴィオと並ぶ第3のモデルで、アルファロメオとしてプラグインハイブリッド(275馬力)を搭載するのは初めてとなる。プロジェクト名「la metamorfosi(The Transformation」)」がその主旨と方向性を明確に示しているように、「トナーレ」はアルファロメオの電動化の未来に向けた最初のステップとなる。

また、アルファロメオによれば、この名前は、市販車に初めて採用されたNFT(Non-Fungible Token)技術の略であるという。このブロックチェーンベースの技術は、車の寿命が尽きるまで、すべての車両とワークショップのデータを安全に保存し、取り出すことができるように設計されているのだ。「アルファロメオ トナーレ」は2022年6月に発売され、価格は3万ユーロ(約396万円)前後からとなる見込みだ。

ビジュアル面では、市販モデルの「トナーレ」は、コンセプトカーを彷彿とさせるものがある。「アルファロメオ トナーレ」は、2019年のジュネーブモーターショーで公開されたスタディモデルを強く意識している。最大の違いは、サイドミラーがカメラではなく従来のものであることと、ドアハンドルがフラッシュではなく弓形であることだ。それ以外は、スタディモデルとほぼそっくりの形だ。

フロントは、「ブレラ」や「RZ/SZ」などを彷彿とさせる3つのU字型セグメントを持つフラットマトリックスLEDヘッドライト(標準装備)から険しく顔を覗かせている。ボンネットに生えるロゴ入りのスクデットグリルからは、ブランドが一目瞭然となっている。エプロン下部の大型エアインテークは、「ジュリア」や「ステルヴィオ」と呼応している。ホイールアーチとスカートの光沢のある黒いトリムは、シックに見えるが、未塗装のプラスチックのように塗装の傷から保護するものではない。

トナーレのリアは、3Dデザインのほぼ連続したLEDバンドが特徴的だ。エプロンには、アウディSQ5のような2本のフェイクテールパイプを装備。

ホイールは、17インチと20インチから選ぶことができ、最も小さいサイズのものにはクラシックなスチール製ホイールまで用意されている。リアには、ほぼ連続した帯状のライトと中央に「トナーレ」のロゴがあしらわれている。そして、明らかに偽物の2本のエキゾーストトリムは、たくましいリアエプロンにセットされている。

サイズ一覧:
全長: 4528mm
全幅: 1835mm
全高: 1604mm
ホイールベース: 2636mm
ラゲッジコンパートメント容量: 500リットル

コンフィギュレーション可能なデジタルコックピットを備えたインテリア

コックピットには、アルファらしいレイアウトといくつかの革新的な技術が採用されている。
スポーティなマルチファンクションステアリングホイールの後ろには、クラシックなアナログのアルファディスプレイを彷彿とさせる、設定可能な12.3インチのデジタルコックピット(標準装備)が搭載されている。ダッシュボードには10.25インチのインフォテイメントシステム(標準装備)を搭載。Alexaボイスコントロールが搭載されており、アルファロメオのアプリから遠隔操作することも可能となっている。ドライビングダイナミクスコントロールとクライメートコントロールのボタンは、これまで通り別々に用意されている。

価格表には「スーパー」、「スプリント」、「T.I.」、「ヴェローチェ」の4つの装備ラインが含まれており、トナーレをより豪華に、あるいはよりスポーティに構成することが可能となっている。

カップ付きステアリングホイールと大型アルミニウム製シフトパドル(オプション)を装備したスポーティなコックピット。デジタルコックピットを構成することができる。

500リットルの収納スペースを持つラゲッジコンパートメント

トランクや2列目のスペースの広さには驚かされる。リアのレッグルームとヘッドルームは、このクラスでは当たり前の約1.85mまでの人なら十分な広さだ。ただ、窓の傾斜のせいで開放感がないのと、ベンチシートの形状をもっと工夫してほしいというのが実際に座ってみた時の第一印象だ。

ダブルローディングフロアを採用したラゲッジルームは、最大500リットルの荷物が収納可能で、このクラスでは抜群の価値を持つ。

一方、ラゲッジルームは500リットルの収納スペースを確保している。このクラスでは驚異的な数字だ。アルファロメオは、後席を倒した状態での正確な数値をまだ教えてくれなかった。後席の背もたれにはハッチがあるが、3分割ではなく2分割でしか倒せないのが小さな批判点だ。

リアは上部の傾斜した窓のラインにより、狭く見えるが、 実際には十分なスペースがある。

NFT技術により、すべての車両データを保存

アルファロメオによると、NFT技術(Non-Fungible Token)の採用は、自動車製造において世界初とのことだ。簡単に言うなら、すべての車両や走行データ、ワークショップ(整備工場)の訪問記録などが、「トナーレ」ごとに暗号化されて、別々に保存されるのだ。これにより、「トナーレ」のオーナーは、常に自分のクルマを把握することができ、特に中古車購入者にとっては嬉しい、走行距離の不正操作の心配もなくなる。

アルファロメオによれば、「トナーレ」の購入者は、注文時にこの技術を搭載するかどうかを選択することができるそうだ。NFT技術は、他のアルファのモデルにも順次搭載される予定となっている。

最高出力275馬力のプラグインハイブリッドをエンジンオプションとして設定

「トナーレ」は、アルファロメオとして、初めてプラグインハイブリッドパワートレインを搭載したモデルとなる。これは、アルファが2027年からほぼすべての市場で電気自動車に依存する計画を前に、同ブランドにとって電動化の第一歩となるものだ。PHEVバージョンは、前軸に180馬力の1.3リッターガソリンエンジン、後軸に90kW(122ps)の電動モーターを組み合わせ、全輪駆動を可能にした。システム出力合計は275馬力、システムトルク合計は500Nm以上となっている。
これにより、コンパクトSUVは、0から6.2秒で100km/hまで加速する。

「ヴェローチェ」トリム(写真)は、スポーツのすべてを表現している。一方、「T.I.」を注文した人は、シルバーグレーのボディアクセントを付けて、よりシックに仕上げている。

前後重量配分は52対48%、マクファーソンストラットとアジャスタブルダンパーにより、コーナリング性能も申し分ないはずだ。15.5kWhのバッテリーを搭載した場合、電動走行距離は約60km、純市街地モードでは最大80kmになるとされる。最大7.4kWの充電が可能だ。いずれにせよ、近々、我々はテストでこれらのことが現実に可能かどうか実証する。

ディーゼルエンジン、ハイブリッドエンジンも選択可能

また、1.5リッターターボ4気筒と48ボルトの電動システムを搭載したハイブリッド車も2種類用意されている。それぞれ130馬力と160馬力を発生し、7速デュアルクラッチと前輪駆動が採用されている。電動モーターはギアボックスのハウジング内にあり、15kW(20ps)の出力を発揮し、0.8kWhのバッテリーと合わせて、駐車時などの電動走行も可能になるはずだ。そして、130馬力の1.6リッターディーゼルと6速デュアルクラッチのバージョンで、モデルラインナップは完成する。

欧州以外の市場では、カルダンシャフトを介した古典的な全輪駆動を備えた256馬力のガソリンエンジンも用意される予定だ。アルファロメオがどこかのタイミングで、エクストラホットの「QV」バージョンを追加する可能性は極めて低い。また、「トナーレ」の「SCCS」プラットフォームでは、純粋な電気自動車は作れない。アルファロメオ初の電気自動車という栄誉は、おそらく「ブレネロ」という小型SUVに譲られるだろう。

2022年6月に30,000ユーロ(約396万円)前後から市場投入

トナーレの受注開始は、遅くとも2022年4月頃を予定している。その後、6月にディーラーのショールームに並び始める。当初はハイブリッドのみで、PHEVは少し遅れて追随する予定だ。価格は未定だが、プラットフォーム兄弟である「ジープ コンパス」をベースとして想定するなら、エントリー価格は3万ユーロ(約396万円)前後、PHEVは4万5千~5万ユーロ(約594~660万円)になるはずだ。

結論:
「トナーレ」は、久しぶりの新しいアルファロメオモデルとなる。ブランド初のプラグインハイブリッドとして、スポーツに慣れたアルファファンの満足度を高めるだけでなく、最良のケースでは新規顧客の獲得も期待できるはずだ。最初の出会いとテクニカルデータはポジティブなものだ。
しかしそのクラスのSUVには競争相手が厳しく、数も多い。最初の比較テストが楽しみだ。

もちろんわが国にも導入されることは間違いないトナーレ。決してコンパクトなわけではないが、今となっては多き過ぎてこまるというサイズではなく、このクラスのSUVとしてはスタンダードサイズともいえる大きさである。1.5リッターガソリンエンジンや、1.6リッターディーゼルエンジンという点も、大きすぎず適度な感じで好印象である。残念ながら車重はまだわからないが、ある程度抑えられているのであれば、そのハンドリングにも期待は持てそうな気もするし、予想価格が合っているのであればなかなかのヒット作になるのではないだろうか。
 余計なことかもしれないが、操作系がすべてタッチスイッチになってしまわず、ちゃんとスイッチ類が残ってたことに安心したし、普通の形状のシフトノブも、大きなパドルシフトも、そして「丸い」ステアリングホイールもそのままであったことに安堵した新型車である。
 ちなみにトナーレとは、ステルヴィオと同じようにアルプスの峠を意味し、具体的にそれはどこかと言えば、ブレシアの山の方にある、1884mの峠(と街)のことである。言うまでもなく、風光明媚(なはず)。

Text: Moritz Doka
加筆:大林晃平
Photo: Alfa Romeo Automobiles S.p.A