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正直に告白すると、Samsung(サムスン)が初代Noteを発表したとき、筆者は懐疑的だった。国際コンシューマ・エレクトロニクス展(IFA)のメッセ・ベルリンの群衆の中でそう思ったのは、私1人ではなかったはずだ。5.3インチのディスプレイは、平均的なスクリーンが3.5インチ強であった年には想像を絶する大きさだった。スタイラスは、痕跡器官のように携帯電話に備わっていた。それは、集合的に(そして楽しく)進化してきたPalm Pilot時代からの、奇妙で不必要な遺物のようなものだった。

Samsungは、昔のものと似たような反発を受けた直近のデバイスに関して、そのような懐疑論を正しく指摘している。折りたたみ式ディスプレイのような新しいイノベーションに直面したとき、筆者はこのことについてよく考える。新しいイノベーションが失敗することに賭けることに時間を費やしていたら、かなりの実績があることになる。これは、つきものであり、我々が身を置くこの奇妙な業界の性質でもある。革新的であればあるほど、失敗する可能性は高くなる。

しかし、Noteはあらゆる合理的な指標からみて成功だった。発売から9カ月で1000万台を販売したとSamsungは発表した。初代iPhoneの登場から4年半、すでに閉塞感を漂わせ始めていたカテゴリーに、新しいアイデアを注入する一助となった。Samsungは、Blackberry後の世界でモバイルファーストのバーチャルオフィスというアイデアを取り入れる新しい方法を模索していて、そしておそらく最も重要なことは、ファブレット時代の到来を告げたことだ。2014年には、4.7インチのiPhone 6が登場し、3.5インチや4インチを理想的なスクリーンサイズとして称賛する時代は終焉を迎えたとApple(アップル)でさえ認めざるを得なくなった。

もちろん、Noteのイノベーションの全てが、すごく斬新だったわけではない。発売後、スタイラスに勢いがあると感じられた時期もあった。モバイルのフォームファクタでは、入力デバイスは不当に悪者扱いされていたのかもしれない。多くのメーカーがスタイラスを試したが、最終的にはタブレット用に特別に設計された大型のペンシルの方がはるかに大きな成功を収めた。

しかし、トレンドがどうであろうと、Noteは最後までS-Penを使い続けた。S-Penは、SamsungがNoteとGalaxy Sとの間の境界線を曖昧にし続ける中で、真の差別化要因だった。そして、皮肉にも、スマートフォンのS-Penは、ブランドとしてGalaxy Noteよりも正式に長生きした。ブランド名に関して移り気な傾向があるSamsungのような企業にとって、10年というのは家電ブランドとしてはなかなかの長寿命だ。同社が低価格の旗艦ブランドで取った動きを見るといい。

分析会社によると、終わりに向かうにつれ、売上は停滞し始め、さらに減少しさえした。しかし、その点についてはNoteだけではなかった。高級スマートフォン市場全体が、パンデミック以前から停滞していた。人々が単純にそれほど早くアップグレードする市場ではなかった。高級スマートフォンはより高価になり、また、もう数年使用するのに十分なものだった。一方、Galaxy Sシリーズの製品は大きくなり続け、2021年にはS-Penが追加された。

大退職時代の中で多くがそうであったように、Noteも再編成のために1年休みを取った。2022年になる頃に、Samsungは折りたたみ式の製品ラインアップをフラッグシップにすると宣言し、これもNoteが戻ってこないことを示す証拠のひとつとなった。SamsungがGalaxy Ultra 22にS-Penスロットを組み込むと、Noteの魂はその体を離れ、マーケティング資料で時々言及されるブランドの限界領域を漂うようになった。発売前に筆者がSamsungの担当者と交わした会話で、彼らはS-Penによるメモ取りなどの機能に関して、より抽象的な「Note体験」に言及する権利を留保していると付け加えた。筆者は発表の際に意見を言ったが、ここで繰り返して言ってもいいだろう。NoteブランドはGalaxy Sよりも強い。 あるいは、少なくとも瞬時に認識できる。Samsungは、Galaxy S22 Noteとしてであっても、Noteブランドを維持すべきだ。

筆者は、発売の数週間前に、このデバイスを少し触る機会があった。この記事にたくさんの写真があるのはそのためだ。 基本的には、正式なレビューに先立ち、製品の写真を撮ったり、少しいじったりする時間だ。当然ながら、私はGalaxy S22 Ultraの方に直行した。デバイスを手に取った瞬間に思ったのは、この端末は名前は違うがまさに「Galaxy Note 22」そのものだということだ。見た目もNote、動作もNote、音もNoteだ。

だから、もしあなたが黒一色の服を着て、ギャラクシーノート型のキャンドルを灯していたとしても、落ち着いていられる。まるでNoteが恐ろしい殺人事件を目撃し、政府の保護を受けなければならなくなったようなものだと考えてほしい。あるいは、Galaxy Sと結婚して、その名字を名乗るようになったのだと。わからない。どちらでも良いと思う方を。

しかし、興味深い(そしてあまり議論されていない)のは、この新デバイスがS22の上位機種を事実上崩壊させるということだ。新しい携帯電話を買うとき、もしあなたが付属品を重視するタイプの人なら、S-Penは付属品の中に入っている。それは、全てが最上位というSamsungの長年のアプローチの論理的な拡張だ.

S22とS22 Plus、S22 PlusとS22 Ultraは200ドル(約2万3000円)の差があるが、前者の2つは後者の2つよりも共通するDNAを持っている。実際、ディスプレイとバッテリーの大きさが、この2つの大きな違いだ。S22 PlusとUltraの場合にもそれは当てはまり、最上位機種はさらに高解像度のメーンカメラと追加の望遠、より多くのメモリとストレージオプション(それぞれ8GB〜、128GB〜というのは同じ)、100倍のスペースズーム(もう1つは30倍)、前述のSペンとそのすべての付属物を手に入れることができる。

以下は、1200ドル(約13万8000円)のGalaxy S22 Ultraの基本スペックだ。

  •  501ppiの6.8インチディスプレイ
  •  背面カメラ4基:108MP(ワイド)、12MP(ウルトラワイド)、10MP(ペリスコープ望遠)、10MP(望遠)、100倍スペースズーム、10倍光学ズーム
  • 5000mAhバッテリー
  • 8GB〜12GB RAM、128GB〜1TBストレージ
  • 4K動画撮影
  • Snapdragon 8 Gen 1 (市場による)
  • ディスプレイ内指紋リーダー

最後の3点は、全体的に同じだ。しかし、例えば、6.6インチのスクリーンと4500mAhのバッテリーではなく、6.8インチと5000mAhを望むなら、めでたいことに、S-Penも手に入れることができる。裏を返せば、当然ながら、少なくとも1200ドルを払わなければ、そのNoteの機能は手に入らないということだ。Samsungは、超高級機種とそれ以外のGalaxy Sシリーズの境界線として、S-Pen機能を維持する計画であることをはっきりとさせた。

非常に高価なスマートフォンの壮大な計画の中で、このいずれかが最終のプロダクトだとは思わないが、同社が他の製品に長年にわたるプロダクトラインを統合する際に、少なくとも少しの摩擦があったに違いない。正直に言えば、突然S22のベースモデルが6種類も登場したら、「複雑すぎる」と同社を批判するかもしれない。

Samsungはここでいくつかの決断を迫られ、S-Penを超プレミアムな機能にする方向へ向かった。そのため、S-Penの200~400ドル(約2万3000〜4万6000円)する価値が好きかどうか、急きょ自問自答することになる人もいるだろう。

もちろん筆者は、他人のためにその質問に答えることはできない。筆者は長い間、S-Penは興味深く、時には非常に便利な機能だと感じてきた。過去10年間のS-Penの進化は、より使いやすくなったソフトウェアのアップグレードと、この製品の最も面白い機能をいかに新鮮に保つかという企業努力のように感じられる追加機能の組み合わせだった。パワーポイントのスライドを高度化するためにスタイラスを使うことは非常に便利なのだろうか?そうでもない。格好いいか? そうかもしれない。

本当に便利なのは、「テキストに変換」のような改良点だ。自身の乱暴で読みにくい筆跡にいかによく対応するか、筆者は一貫して感銘を受けてきた。筆者の字はペンと紙でも十分ひどいのに、光沢のあるスクリーン上でスタイラスを使うとなれば尚更だ。しかしソフトウェアはほぼ常に筆者が伝えようとしていることを見抜いてくれる。私の筆跡が思ったほど悪くないのか(ひどい)、それともソフトウェアが非常に優れているかだ(こちらが正しい)。

Samsungは過去10年間、S-Penの約束を見事に果たしてきた。しかし、最初のNoteが登場したときでさえ、多くのユーザーはすでにタッチスクリーンで上手にタイピングできるように訓練されていた。多くの人にとって、Noteは、現在Samsungのユーザーがハイエンドな6.6インチと6.8インチの間で選択している大画面携帯電話の世界への入り口だった。Galaxy Sラインを向上させようとSamsungは効果的にNoteを再利用した。

しかし、私たちに残されたものは、10年以上にわたるスマートフォン戦争から生まれた素晴らしい(おそらく、詰め込みすぎではあるが)成果である。S22 Ultraは、その重量にもかかわらず、驚くほど滑らかな躯体を維持している。実は、初代Galaxy Noteはあり得ないほど大きいとみられ、多くの点でそれが当てはまった。2011年当時、あれだけの画面をサポートするには、もっと多くの携帯電話が必要だった。しかし、エッジトゥエッジディスプレイのような画期的な技術により、より大きなスクリーンを小さな端末で実現することができた。

間違いなくS22 Ultraは、6.43 x 3.07 x 0.35インチ(163.3×77.9×8.9ミリ)という巨大なタンクだ。平均的な体格の成人男性で、平均的な大きさの手を持つ筆者は、8オンス(226グラム)のデバイスが扱いにくいと感じる瞬間があった。これは、大きな端末を手に入れるために支払う代償だ。そして、Samsungはきっと嬉しそうにこう言うだろう。もしスクリーンが大きすぎるなら、いくつか折りたたみ式のものがあるので、喜んで売ろう、と。

  1. Ultra

  2. Ultra2

  3. Ultra3

  4. Ultra4

  5. Ultra5

  6. Ultra6

  7. Ultra7

  8. Ultra8

  9. Ultra9

  10. Ultra10

  11. Ultra11

  12. Ultra12

  13. Ultra13

  14. Ultra14

  15. Ultra15

  16. Ultra16

  17. Ultra17

  18. Ultra18

 

カメラも高品質だ。季節外れの暖かな2月の朝、筆者は嬉々として端末を持って近所を回った。S22は、2022年の携帯電話端末で撮影できる写真のなかでも最高レベルのものを撮ることができる。ナイトショットは、ここ数世代で目覚ましい進歩を遂げた。Samsungにとって、この点での最も重要な競争相手は最新のPixelだ。この端末で、Googleはついにハードウェアも重要であることを認めた。

ナイトショットは、Ultraと低スペックのS22モデルの最大の違いを感じる部分の1つだ。つまり、これらの改善は、1〜2世代で徐々に浸透する可能性があることを意味する。スペースズームも100倍という驚異的な倍率だが、その分、忠実度は劇的に低下する。この機能が目新しさをはるかに超えたとは筆者には思えなかった。108MPセンサーで撮影した画素を合成して、より多くの光を取り込むノナバイニングのような機能の方が、日常的に使うにははるかに有意義だ。

赤ちゃんのころのブライアン。修復済みのもの。

また、先に追加されたPhoto Remaster(写真修復)やObject Eraser(オブジェクト抹消)など、Samsungはソフトウェア面でも改良を続けている。オートフレームは複数の被写体の撮影を改善し、改良されたポートレートモードは深度マップを活用し、ボケ効果を生かしたより精密なカットアウトができるようになった。ウサギの撮影では驚くほどうまくいく、と喜んでお伝えしよう。ディスプレイは、端末の長年の課題だった屋外での視認性を向上させ、特に前述の朝の写真撮影の際には、その威力を発揮した。5000mAhの大容量バッテリーは、26時間という長時間使用にも耐えた。

S22 Ultraはとても良い携帯電話だ。本当に疑問の余地はなかった。S22 Ultraは、Galaxyの両ラインのベストを組み合わせたとは言えないが、両ラインの論理的な中心点に位置している。SとNoteは、過去数世代にわたって、ゆっくりと互いに姿を変えてきた。しかし、より大きな疑問は、この製品が高級スマートフォンの運命について何を語っているのか、ということだ。

このカテゴリーはここ数年、その輝きを失いつつある。Samsungがフォールダブルの登場によって復活させたいと考えているのは、興奮だ。しかし、最も楽観的に予測するにしても、フォールダブルが話題を独占するのは、まだまだ先の話だ。

一方で、Samsungは、あらゆる付属品を真にプレミアムな価格帯のデバイスに詰め込むという、得意とすることを続けていくだろう。しかし、S-Penが決定的な要素でない限り、大多数のユーザーはGalaxy S22の低価格帯端末に満足するはずだ。

現在も抱えているが、多くの嵐を乗り越えてきた愛されるブランドにとって、Noteがこのように静かに後景に流れていくのを見るのは奇妙だ。しかし、Noteは間違いなく太陽の下で輝いたときがあり、たとえSamsungが次の作戦のためにNoteのブランドをなくしても、そのイノベーションはスマートフォン分野への広範な影響の中で生き続けるだろう。

画像クレジット: Brian Heater

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(文:Brian Heater、翻訳:Nariko Mizoguchi