ディズニーランドやディズニーアニメで世界的に知られるディズニーの人材募集サイトが話題を呼んでいる。ディズニー内の人材募集サイト「disneycareers.com」に、複数の分野でNFTやメタバースの専門知識を持つ人材の募集情報が掲載されているのだ。
子会社はすでに続々参入
たとえば、「セールス&デジタルマーケティングディレクター」の募集では、AR /VR、フィルター、NFT、ライブストリームなどのテクノロジーや、まったく新しいテクノロジーに対する取り組みを主導することが求められている。「ビジネス開発担当マネージャー」の求人募集ページには、「デジタルやNFTに関する知識と情熱」が必須と記載されている。
ディズニーはこれまでNFT市場に本格的に参入してはいなかったが、子会社は続々とNFT事業に参入している。
ディズニー傘下のマーベルエンターテインメントは昨年6月、同社のコンテンツをNFT化し販売していくことを発表している。マーベルを代表する人気キャラクターのアイアンマンやキャプテンアメリカ、スパイダーマンなど、同社が持つコンテンツがNFT化されるのだろう。
米動画配信サービス大手の「Hulu(フールー)」もディズニーの傘下に入っているがNFTやメタバースに進出する動きを見せている。今年に入ってから、NFTやメタバースの専門人材の募集を開始した。
米映像制作大手のフォックスエンターテイメント。この会社もディズニーの子会社だが、昨年、NFT事業に参入することを表明している。NFT事業には1億ドル(110億円)の資金を投入するという。
それではディズニー本体はと言えば、これまでは直接、NFT事業に乗り出す動きは見せていなかった。昨年、ディズニーキャラクターを含むNFTコレクション「ゴールデンモーメント(Golden Moments)」が販売されたが、これはNFT企業のヴェヴェを通した事業。ディズニー自身がNFT事業に乗り出したというわけではなかった。
米巨大IT企業は積極的、日本企業は?
アメリカでは昨年からビッグテック(巨大IT企業)を中心にNFTやメタバースへの参入が相次いでいる。フェイスブックが社名を「メタ」に変更したのは有名だが、メタバース事業には1兆円の投資をするという。同社のプラットフォームのフェイスブックとインスタグラムを活用して、NFT作品を展示・売買できるマーケットプレイスを開発していると噂されている。
マイクロソフトもNFTには高い関心を持っているようで、昨年12月、NFT関連企業の「Palm NFT Studio」へ出資したことが分かっている。動画配信サービスのネットフリックスもNFT事業への参入を噂されている。
また、アップルはまだ具体的な動きは見せていないものの、同社のティム・クック最高経営責任者(CEO)は、昨年11月に暗号資産やメタバース、NFTに関心があり、検討していくと述べている。近い将来、アップルもNFTやメタバースに参入する可能性は十分にあるだろう。
メタバースやNFTへの参入が活発なアメリカと比べると、日本では楽天の「Rakuten NFT」やSBI系のSBINFTが運営する「nanakusa」などがあるが、大手の参入は限定的だ。メタバースやNFTはまだまだ発展途上で、WEB2.0におけるグーグルのようなビッグプレイヤーは存在していない。日本企業も本気になって、ぜひWEB3.0のグーグルを目指してほしい。