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復活熱烈歓迎!! これぞトヨタのサルーン魂!! 歴代マジェスタの偉業とベストモデルを探る

 伝統のクラウンに「マジェスタ」の名が追加されたのは1991年のこと。セルシオとクラウンの間に位置するクルマとして生まれ、セルシオ消滅後には、トヨタドライバーズカーの頂点に君臨したモデルである。

 本稿では、約17年間6代に渡るクラウンマジェスタの歴史を振り返りながら、筆者の販売経験を踏まえて、マジェスタの革新モデルを1つ選んでいきたい。日本の高級車は、クラウンマジェスタで極まる。

文/佐々木 亘、写真/TOYOTA

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■ロングボディに縦型テールランプ、マジェスタを印象付ける数々のデザイン

1991年に9代目クラウンと同時に登場したクラウンマジェスタ。当時トヨタの最上位車種であったレクサスとクラウンの間に位置する車種として投入された

 クラウンマジェスタという存在は、非常に通好みだと思う。

 フロントマスクだけを比べれば、当時の「ロイヤルサルーン」と「マジェスタ」の違いは、非常に分かりにくい。細かく見ればグリルやランプが少々違うが、クルマにあまり詳しくないという人には、ロイヤルもマジェスタも同じように見えるのではないだろうか。

 普通に見比べたら大差ないクルマが、ロイヤルよりも100万円以上高く販売されている。この事実だけで、トヨタが作り上げたマジェスタというブランドが、いかに崇高なものかを感じ取ることができるはずだ。

 クラウンよりもホイールベースを拡大し、後席スペースを広くする。デザインの大きな違いをリアに集めているのも粋な演出だ。

 マジェスタの代名詞は、2代目から採用された縦型の独創的なテールランプであるだろう。オーナーが運転席のドアを開ける際に後方から回り込み、「マジェスタ」であることを確認してから乗り込むことができるこの演出に、筆者はマジェスタらしさを強く感じる。

■マジェスタはクラウンのシリーズなのか、それとも独立車種か

2013年登場の6代目クラウンマジェスタ。2018年に販売を終了した

 クラウンマジェスタなのか、マジェスタなのか、様々な箇所で意見の分かれる所であろう。

 公式には「クラウンマジェスタ」なのだが、販売現場にいると、クラウンという呼び名はあまり使われず、マジェスタと単独呼びすることが多かった。マジェスタオーナーたちの前でも「クラウンマジェスタ」というより「マジェスタ」と呼んだほうが喜んでくれる。

 2004年発表の4代目から、マジェスタが独立車種としての道をしっかりと歩き出したと筆者は思う。フロントエンブレムにはクラウンの王冠ではなく、トヨタのCIが付けられ、エレクトロマルチビジョンの車名も「MAJESTA」になった。この流れは2009年発表の5代目まで継続する。

 最後にマジェスタの名が付いた6代目は、クラウンの一つのシリーズとして位置づけられ、独立車種の立場を失った。同時にマジェスタの威厳も小さくなり、結果としてこの代でマジェスタの名前は消えることとなる。

 販売する立場で言えば、クラウンとマジェスタは全くの別物だ。売り手の感覚では、マジェスタには独立車種でいてもらったほうが、クルマの収まり場所も良かった。クラウンの枠を飛び出してマジェスタが独り歩きしたほうが、面白い未来があったように思う。

■革新モデルはセンチュリーに近づいた5代目

筆者の佐々木 亘氏が「マジェスタの革新モデル」として選んだのは2009年登場の5代目

 筆者が選ぶマジェスタの革新モデルは、5代目(S200型)だ。全長は4,995mm、全幅1,810mmと歴代マジェスタの中で最も大きい。エンジンには4.6LのV型8気筒が収まり(AWDは4.3LのV8)、当時のレクサスLSと肩を並べた。

 販売台数は約17万台と奮わなかったが、マジェスタの完成形をこのモデルに見たような気がする。

 セルシオやクラウンは、オーナー自身が運転者となるドライバーズカーであり、その最高峰を目指したクルマだと思う。それ故に、トヨタ最高価格のセンチュリーとは別次元で考えられる。ドライバーズカーのクラウンとショーファーカーのセンチュリー、トヨタには2つの最上級が存在するのだ。

 5代目マジェスタには、Fパッケージという4人乗り仕様が設定された。セルシオからドライバーズカーの最高位を譲り受けたマジェスタが、センチュリーの独擅場であったショーファードリブンの域に入ろうとしたのだ。

 この変化は、マジェスタが車格を上げる良い転機だと感じた。また、当時はレクサスが国内で開業し約5年となる頃である。トヨタディーラーにいると、高級車はレクサス、トヨタはそれ以下を販売する場所のような雰囲気が漂い、現場では格差を感じる時期でもあった。

 こうした中で、マジェスタはトヨタ販売店のスタッフに、「レクサスに負けず、まだまだ高級車を売ってくださいよ」と語りかけているように感じたのだ。

 レクサス導入で見失いかけていたトヨタ店の行き先、そしてマジェスタ自身の進むべき方向を、しっかりと定めた5代目マジェスタ。このクルマが、マジェスタの完成形であり、販売目線から見た革新モデルだと思う。

 現在は消滅してしまったマジェスタの名称だが、きっとまた戻ってくると信じている。トヨタのフラッグシップはマジェスタであってほしいし、マジェスタでなければならない。平成の最高級車が、新たな形で令和の最高級車として登場することを期待する。

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