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キオクシアの三重県四日市工場と岩手県北上工場の一部操業停止により、SSD用チップが最大10%高騰する可能性

iFixit

アップル製品向けにNANDフラッシュメモリを供給する主要サプライヤーの1つが生産工程の一部を停止したため、今後NANDフラッシュの価格が最大10%上昇するかもしれないとの予想が報じられています。

今月10日、半導体メーカー大手のキオクシア(旧東芝)は四日市工場と北上工場で生産工程の一部を停止したと発表しました。3次元NAND型フラッシュメモリ「BiCS FLASH」の部材に不純物が混入していたとされており、少なくとも6.5EB(65億GB)分の製造が減少すると述べています。

今回の件につき市場調査会社のTrendForce社は、SSDの主要構成要素であるNANDの価格が最大で10%高騰する可能性があると警告しているしだいです。

アップルはiPhone 13やM1 Pro/Max MacBook Pro、iPad Proなど、多くの製品にキオクシアのNANDフラッシュを使っていることで知られています。たとえば修理業者iFixitがiPhone 13 Proを分解した際にはキオクシア製のNANDフラッシュが1つ、16インチのM1 Pro搭載MacBook Pro(SSD 256GB)ではキオクシアのKICM225UZ0460 128GB NANDフラッシュが2つ確認されました。

世界的な半導体不足のなか、2021年のPC出荷台数は前年比15%増との調査結果もあり、2022年にはさらに伸びるとの予想もありました。そこにNANDフラッシュの不足や価格が高騰する可能性が生じたことは、今後数カ月にわたって影を落とすかもしれません。

TrendForceによれば、米ウェスタンデジタルとキオクシアの提携はNANDフラッシュ市場の約30%に相当するとのことです。両社は主にPC用のSSDとeMMcストレージを供給しており、それだけPCの生産量に深く関わっているといえます。

混入の原因は明らかになっておらず、市場に出回っている製品を回収する必要があるかどうか、また生産をいつ再開するかも不明です。

米9to5Macは、もしもNANDフラッシュが値上がりしても、アップルが自社製品の価格を引き上げる可能性は低いと推測しています。

なぜならアップルは部品の調達交渉をかなり前から行う傾向があり、今後の契約ではコストが上がる可能性はあるものの、直近の製品に影響するとは考えにくい。その後も影響があるのは数カ月だけで、そのコストはアップルが負担して価格に上乗せしないと思われる、というわけです。

ただし該当する工場で作られたNANDフラッシュを使ったアップル製品が、今後リコールされる懸念はあるとの趣旨も述べられています。アップルで何か動きがありしだい、本誌でもお伝えする予定です。

(Source:キオクシア。Via the VergeEngadget日本版より転載)