今回の乗りバスレポートは都営バスの「門21」系統だ。区間によってはなかなかレアな本数だが、おおむねほかの系統でカバーできているので、さほどの問題はないのだろう。今回は東大島駅前から門前仲町までの全区間を乗車した。
文:古川智規(バスマガジン編集部)
写真:小野寺利右
全区間通しで走る便は少ない
門21系統は都営新宿線の東大島駅と門前仲町を東陽町駅前を経由して走る。9km弱で乗車時間は約40分だ。運行担当は都営バス江戸川営業所臨海支所である。全区間を走る便は少ない。区間便として東大島駅前から東陽町駅前止まりの便はラッシュ時を中心に多い。
東大島駅を発車した門21系統は番所橋通りを南下し、しばらくすると清州橋通りに右折する。この交差点の左側は荒川だが昔はここに葛西橋が架橋されていたが現在は取り壊されていて存在しない。次の「旧葛西橋」という停留所名はこの今はなき葛西橋から採られたものだ。
一人で楽しむ「亀高橋アタック」
亀高橋を出て丸八通りを南下する。旧葛西橋から亀高橋の間は秋26系統など同方向との乗り換えが楽だ。記者はたまに秋26系統を秋葉原駅前から乗車し、亀高橋で門21系統に乗り換えて東大島駅前に至る乗り継ぎチャレンジをする。
これを「亀高橋アタック」と称して一人で楽しんでいる。両系統とも本数が多くないのでたいていは失敗するが、ダイヤが良ければ成功するバスファンの楽しみ方だ。
失敗すれば別系統で回り道をすればよい。よく乗り継ぐバス停ではやるのことなので別にどこでも構わないのだが(東駒形一丁目アタックとか)どうせ乗るなら楽しみたい。
ジグザグに東陽町を目指す
丸八通りを南下したバスは葛西橋通りに右折し運河沿いを(仙台堀川)西に進む。この区間は門21系統の単独区間だ。四ツ目通りでまた南下に転じ、江東区役所前に停車する。
ここと次の東陽町駅前でほとんどの乗客が降車し、若干の乗車がある。東陽町駅前は東西線との接続点で都営バスが多く集まるポイントでもある。駅そのものは地下で駅前広場もないためにバスはその辺の路上に多くある行先別のバス停に停車する。ここからは永代通りを「西」に進むが、最終最後で同じ通りを逆走する。
永代通りを走る区間は木場駅前までで、門前仲町は直進すればすぐそこなのに、右折して今度は北に進路を取る。木場公園沿いを北上し、先にお別れした葛西橋通りに戻り西に向かう。この区間も門21系統の単独だ。
このあたりになると乗客はほとんどいなくなる。都営大江戸線が走る清澄通りをなぜか通り越して直進し、首都高速をくぐり永代通りに出るが、ここはすでに門前仲町を通り越しているので戻らなければならない。
不届きにも永代通りを逆走!?
ここで永代通りを西から東に向けて逆走する。すぐに門前仲町終点の降車バス停に到着する。なぜこのような大回りをするのかというと、門21系統の始発停留所は清澄通りにあるので路線を門前仲町周辺でループさせて、折り返しに手間取らずにバスを前進させるだけで始発停留所に付けるルートにしているからである。
よって永代通りを「逆走」するのは東大島駅前発・門前仲町行きのみであり、逆向きのバスは門前仲町を発車後すぐに葛西橋通りを右折して東に向かう。
丁寧に乗客を拾うルートの結果
ジグザグに走ったり、たまに目的地とは違う方向に走ったりするが、単独区間もあることから鉄道空白地帯を埋めた結果の路線ということもできるだろう。乗降の多い東陽町付近との連絡が主な目的のようにも見えるが、東陽町から先の門前仲町の区間は他の系統との重複が多く便数が少なくてもさほどの影響はないのだろう。
しかし時間はかかるものの、門21系統で門前仲町まで乗れば降車停留所のすぐ前から海01系統や門19系統が出ており、ほとんど歩かず1回乗り換えでビッグサイトや台場方面にアクセスできるのは便利だ。
ミステリー感を楽しもう!
路線が分かってしまえばどうということはないが、直進すべき場所で曲がったり、明後日の方向に走り出したりとミステリー感を味わうのにはなかなか楽しい路線だ。乗りバスには最適だが、通し運行の終バスは早いのでダイヤを確認してから乗りバスを楽しみたい。
投稿 逆走するバスだって? 「門21」系統でミステリー感を楽しむ! は 自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。