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「死に近き母に添寝(そいね)のしんしんと遠田(とおだ)のかはづ天に聞ゆる」。歌人で医師の斎藤茂吉(さいとう・もきち)は山形県に住む母の危篤の知らせに、東京から実家にかけつけた。その母のみとりを詠んだ「死にたまふ母」59首である▲少年のころに親類の養子となって母と別れ、上京した茂吉で…