IntelがCES2022にて発表したモバイル向けハイエンドCPUであるAlder Lake-Hの最上位モデル、Core i9-12900HKですが、非常に高い性能を実現したAppleの独自開発CPU、M1 Maxを超えるパフォーマンスを記録したようです。
最上位CPU対決、Apple M1 MaxとCore i9-12900HK
Intel’s Alder Lake Core i9 processor actually is faster than the M1 Max* | Macworld
AppleではMacbookなどで採用されているCPUをIntel製から自社開発のCPUであるApple Siliconへの切り替えを行っています。その一環で2021年中旬に発売がされたMacbook Proでは上位モデルにはM1 Maxと呼ばれるCPUを搭載し、Appleによると他社のハイエンドラップトップCPU(比較はCore i7-11800H)を凌駕する高いパフォーマンスを持つと公式ページでは案内されています。
一方でIntelがCES2022にて発表したモバイル向けAlder Lake CPUの内、クリエイターやゲーマー向けのハイエンドラップトップへの搭載が想定されているAlder Lake-HシリーズではIntelがM1 Maxより高いパフォーマンスを発揮すると発表していますが、今回、PCWorldが計測したCore i9-12900HKが搭載されたラップトップであるMSI GE76 RaiderのベンチマークとMacworldが計測したM1 Maxを搭載するMacbook Proでのベンチマークでどれだけ性能差があるのか比較が行われています。
なお、Intel製CPUはx86系でOSはWindows 11、一方でApple M1 MaxはARM系でOSはOSXと環境が大きく異なっている事は留意する必要があります。
Core i9-12900HKはP-Coreが6コア、E-Coreが8コア搭載、合計で14コア20スレッドに対応するモデルとなっており、TDPについては45Wが標準ですが、PL2では115Wとなっています。
一方でApple M1 MaxはP-Coreが8コア、E-Coreが2コア搭載している事が分かっていますが、動作クロックについては明確にはなっていません。
Geekbenchはシングル、マルチ共に5%程度Core i9-12900HKが上回る
GeekbenchにおいてはCore i9-12900HKとM1 Maxとの差はあまり大きくはありません。
Core i9-12900HKはシングルコアが1838pt、マルチコアが13235ptとなっており、Apple M1 Maxのシングルコア1774ptに対して4%、マルチコアは12590ptという事で6%ほど上回った結果を出しています。
なお、他のラップトップ向けCPUと比べるとCore i9-12900HKもApple M1も圧倒的に高い性能を叩き出しており、デスクトップ向けのハイエンドCPUでもあるCore i7-12700KFにも迫るスコアを出せている状態です。
Cinebench R23ではCore i9-12900HKが29%上回る性能に
Cinebench R23においてはCore i9-12900HKとM1 Maxとのスコア差は大きく出ています。Core i9-12900HKはシングルコアが1895pt、マルチコアが15981ptとなっています。Apple M1 Maxではシングルコア1531pt、マルチコアは12381ptという事でシングルコアが24%、マルチコアでは29%ほどCore i9-12900HKが上回っている事になります。
Core i9-12900HKに至ってはデスクトップ向けに10コアを搭載するCore i9-10900Kに近いパフォーマンスを発揮しています。一方でM1 MaxもCore i5-12400と同じスコアを出しているため、ラップトップとは言え、両社共にデスクトップ向けCPUと遜色のない性能であるのは確かなようです。
スコアで優位なCore i9-12900HKだが、消費電力はM1 Maxの3倍以上の模様
Core i9-12900HKについてはIntel公式のスペックによると動作クロックが定格時のTDPは45W、最大ブースト時は115Wにも及んでいますが、実際にPCWorldがCinebench R23ベンチマーク中に消費電力を計測した際にはCore i9-12900HK搭載のMSI GE76では起動直後は140Wとなり、その後ベンチマーク中は100Wをキープしていたとの事です。
一方でM1 Maxを搭載するMacbook Proに関してはCinebench R23ベンチマーク中の消費電力は平均40W程度に収まっておりCore i9-12900HKは非常にパワフルなCPUである事は確かなようですが、消費電力と言う面で見るとM1 Maxが圧倒しているという状態になっています。
なお、バッテリーの持続時間と言う観点でもCore i9-12900HKはM1 Maxに劣後しており、オフラインでの動画再生ではCore i9-12900HKは6時間に対して、M1 Maxは17時間と大きな差を空けられています。これはOSの差やGPUの差などもありますが、電力効率と言う面では大きな差があるのは確かなようです。
Core i9-12900HKについてはCES2022の発表会でもM1 Maxを比較に上げていたのですが、性能面ではしっかりと勝利を収めていますが、ハイエンドなゲーミングラップトップなどに搭載される事を想定した性能最重視モデルという事で、消費電力については100Wとデスクトップ向けCPU並みの消費電力になっています。
一方で、M1 Maxについてはバッテリーの持続時間が重要な普段使いからパフォーマンスが要求されるクリエイティブ用途までカバーできるように作られているため、性能はCore i9-12900HKほどは無いものの、消費電力に気を配りながら最大限まで性能を上げるという方向で作られているように見えます。
単純に性能だけで比べればCore i9-12900HKの勝利、電力効率ならM1 Maxの勝利で終わりですが、想定される用途まで考えるとCore i9-12900HKもM1 Maxも非常に高いバランスを持っているようですので、今後のどのような形で進化していくのか期待が膨らみます。
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