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東京新聞朝刊が26日、一面で報じた「遅れに遅れる「3回目」ワクチン接種、政府の計画達成難しく 接種率2.1%で先進国最下位」という記事がネットを賑わせている。

記事によると、25日公表時点で3回目のワクチン接種済みは、約263万人にとどまっているという。全人口でみた接種率はわずか2.1%。アメリカの3回目ワクチン接種率は23日時点で25.5%、イギリスは54.8%、韓国も48.8%に上る。日本の2.1%という接種率は経済協力開発機構(OECD)加盟国の中で最下位だ。

昨年12月、ファイザー社のブーラCEOと電話会談に臨む岸田首相(官邸サイト)

ドキュメンタリー映画監督の五百旗頭幸男氏はこのニュースに「感染が落ち着いているときに体制を整えることができず、事態が深刻化してから焦る3人の首相(編集部注:安倍、菅、岸田の歴代3人とみられる)。この2年間、全然変わっていないじゃないか」とツイートしていた。

また、一般ユーザーからは次のようなコメントが寄せられている。

また先進国最下位 !?

日本政府と厚労省は、新たな危機を目前にして、最速開始の真剣な努力したのか全く疑問

普通の先進国はこの冬に向けての感染対策としてワクチン確保に走ったが、日本は国内におけるデルタ株の自滅が日本人の衛生意識の高さだと勘違いしてしまった

SBIホールディングスの北尾吉孝社長は昨年12月22日に行われた記者会見で、岸田政権への苦言とともに、ここ最近の政府の混乱を予見したかのようなコメントをしていた。

オミクロンの実態を全くわからないで何か月というのも早すぎるし、あるいは先手を打って6か月とか。韓国は4か月でしょ。そして、ヨーロッパもアメリカもブースターを『早く打て』と言っている。日本も、昨日は(東京の新規感染が)38人、だんだん増えてきて来ている。グズグズしたらいかん。(参照:記者会見の記事

「毎週のように国の方針が変更…」自治体困惑

画像:Inside Creative House/iStock

3回目のワクチンが遅れる可能性があることは、早くから危惧されていたことだ。日本はほかの先進各国と比べると、1回目、2回目のワクチン接種が遅れていた。1回目、2回目の接種が遅れれば、原則8カ月の間隔が必要とされていた3回目のワクチン接種は必然的に遅れることになる。

岸田首相も25日の予算委員会で、3回目のワクチン接種が遅れていることの理由を「1、2回目のワクチン接種が遅れたため」としている。政府は遅れを解消するために、3回目のワクチン接種の間隔を2度にわたって前倒しした。

ただ、この政府のやり方には、接種を担う自治体からは戸惑いの声も聞かれる。ある政令市の幹部はサキシルの取材に対して次のように語る。

はじめから間隔を6カ月と決めていてくれれば対応もできましたが……。毎週のように国の方針が変更されるので、対応するのが難しくなってしまいます。市のリソースも有限なので、正直に言って厳しいですよね

政府は、2回目のワクチン接種から8カ月の間隔を原則としていたが、オミクロン株の急激な感染拡大を受けて、65歳以上が6カ月、12~64歳は7カ月に短縮していた。

岸田首相の手腕について、阪神淡路大震災時の村山富市首相、東日本大震災時の菅直人首相を例に出し、「この国際状況で岸田首相って怖すぎる」などとツイートするユーザーもいた。岸田首相が何か発言するたびに株価が下落する「岸田ショック」という言葉が一部で流行するように、「経済オンチ」を不安視する声も上がる。岸田首相にはこうした国民の不安な思いを、ぜひその手腕で払しょくしてほしいものだ。