Intel Celeron4205u は 2019年12月以降に発売された5万~10万円という、比較的高価な価格帯のノートPCに使われているCPUです。
Intel Celeron 4205u 搭載ノートPCは2021年末時点で30種類を超える製品が発売されていますが、はたしてコストパフォーマンスが高いものなのか、逆に割高になってしまうのか、購入を検討されている方は是非この記事をご一読下さい。
Intel Celeron 4205u とは
Celeron 4205u は、2019年の第1四半期に発売された省電力CPUで、第9世代のCore-i シリーズと同じ発売時となります。
CPUのプロセスルールは第6世代と同じ14nm が採用されてはいますが、グラフィック機能は第8世代の「INTEL UHD Graphics 610」が搭載されています。
Celeron 4205u の基本スペックは次の通りです。
CPU | コア数:2 スレッド数:2 |
基本クロック | 1.8GHz |
グラフィック | Intel UHD Graphics 610 |
TDP | 15W |
Celeron 4205u は 第3世代のINTEL Core-i3 並み
ベンチマークテストで計測したCPUとGPUのスコアを比較すると、 Celeron 4205u の CPU性能は第3世代のCore-i3 と同等であり、グラフィック性能は 第5世代のCore-i3と同等です。
CPUの性能はそれほど高くはありませんが、一般的な事務作業であれば問題無く使えます。
以下の用途に限定するなら、動作がもたつくこと無く使えるでしょう。
- ワード、エクセル、パワーポイントなどの文書作成
- メールの送受信
- ウェブサイトの閲覧
- 人事や会計ソフトなどの事務処理アプリの利用程度
- PythonやRuby,PHP、C#やJavaなどのプログラミングの学習
- 趣味や仕事で使うちょっとしたプログラムの開発
多少重いと感じることを我慢すれば下記の用途も可能です。
- Zoomによるテレビ会議
- 十数分程度のフルハイビジョン画質の簡単な動画編集(カット、結合など)
- デジタル一眼レフカメラで撮影した生データの現像
- フォトレタッチ
ただし、PCの性能(サクサク感)はCPUの性能だけで決まるわけではなく、メモリ容量や内蔵ストレージ性能(容量、速度)に大きく左右されます。
このPCを搭載しているノートPCを検討されている方は、その点もご注意ください。
このCPUが搭載されているノートPCの傾向
4205u が搭載されているノートPCは5万円台~10万円台という高めの値段設定がされており、2021年末の価格COMに掲載されている製品数は33点でした。
これらのデータを集計すると次の様な結果になりました。
補足 項目 | スペック | 補足 |
---|---|---|
画面サイズ | 14~17インチ | 約半数の製品が17インチ |
解像度 | WXGA(1366×768)~FullHD(1920×1080) | 約7割の製品がFullHD |
重量 | 1.5kg~2.38kg | 約9割の製品が2kg超え |
メモリ | 4GB~8GB | 約6割の製品が4GB搭載 |
ストレージ | SSD240GB~HDD1TB | 約7割の製品がSSD240GB以上を搭載 |
DVDドライブ | 搭載無し、又はDVD±R/±RW/RAM/±RDL | 約9割の製品が内蔵ドライブ搭載 |
Office | 搭載無し、 又は Microsoft Office Home&Bussines 2019 以上 |
約5割の製品がOfficeを搭載 |
駆動時間 | 4.2時間~9.6時間 | 約6割の製品が4.2時間 |
価格 | 5万円台~10万円台 | 平均価格は7万円 |
上記のことから、4205u は、会社か自宅でワードやエクセルなどの文書作成をメインとするライトユーザー向けのノートPCに採用されていると言えます。
価格が少々高いですが、これはオフィス製品が付属しているからで、一般的な事務作業において作成した文書のDVD書き込みなども含め、オールマイティに利用できることを狙っているようです。
オフィスは不要でもっと重い処理をしたい方は、この値段帯で購入できる Core-i3 やCore-i5 搭載のノートPCを探した方が良いと思われます。
ベンチマークで性能を比較
結論を先に描きましたが、ここからはその理由を簡単に説明しておきます。
下記一覧は、 Celeron 4205u のベンチーマーク性能(CPU:PassMakr、GPU:FireStrike) を、Core-i3の世代別性能と比較したものになります。
CPU名称 | PassMark | GPU | FireStrike | コア数 | スレッド数 | TDP | 定格クロック | 最大クロック |
Core i3 8130U | 3804 | Intel UHD Graphics 620 | 990 | 2 | 4 | 15W | 2.2GHz | 3.4GHz |
Core i3 7100U | 2774 | Intel HD Graphics 620 | 808 | 2 | 4 | 15W | 2.4GHz | – |
Core i3 6100U | 2628 | Intel HD Graphics 520 | 707 | 2 | 4 | 15W | 2.3GHz | – |
Core i3 5010U | 2157 | Intel HD Graphics 5500 | 594 | 2 | 4 | 15W | 2.1GHz | – |
Core i3 4025U | 1930 | Intel HD Graphics 4400 | 492 | 2 | 4 | 15W | 1.9GHz | – |
Celeron 4205U | 1334 | Intel HD Graphics 610 | 593 | 2 | 2 | 15W | 1.8GHz | – |
Core i3 3227U | 1295 | Intel HD Graphics 4000 | 411 | 2 | 4 | 17W | 1.9GHz | – |
Core i3 2350M | 1228 | Intel HD Graphics 3000 | 198 | 2 | 4 | 35W | 2.3GHz | – |
Celeron 4205u は2019年に発売された比較的新しいCPUですが、廉価版のため第3世代のCore-i3の性能となっています。
しかし、Excelやワードなどのオフィス製品、ネットサーフィン、YouTubeやNetFlixなどの動画鑑賞などの軽用途であれば、全く問題なく熟せるだけの性能を持っています。
インテルの公式サイトでは、グラフィック性能は「Intel® UHD Graphics for 8th Generation Intel® Processors」と記載されており、第8世代のものを使用しています。
しかし、詳しく見ると第8世代Core-i3は「UHD Graphics 620」に対して Celeron 4205U は「UHD Graphics 610」というビデオチップを搭載しており、「UHD Graphics 620」 の6割程度の性能しかありません。
このCPUを搭載したノートPCで3Dゲームを楽しむことは、よほど軽いゲームでない限り難しいと言えるでしょう。
まとめ
今回は Celeron 4205u の性能について、ネットで公表されているベンチーマークをもとに、Core-i3の中でどの世代に匹敵するかについて検証しました。
このCPUは5万台~10万円台という比較的高価格帯のノートPCに採用されています。
多くの製品はオフィス2019が付属しており、このことが高価格帯の理由だと思われますが、メモリ4GB、SSD 240GB以上、画面サイズ15インチ以上、DVDドライブ搭載の製品が大半を占めており、会社又は家庭で文書作成や動画参照など軽作業をオールマイティにこなしたい人向けのCPUだと言えます。
この記事が、皆さんのPC購入の参考になれば幸いです。