2022年1月18日、ステランティスは2021年の7ブランド合計の販売台数が、4万4976台となり、過去最高を記録した。ステランティスはアバルト、アルファロメオ、フィアット、ジープという4ブランドを扱うFCAジャパンとプジョー、シトロエン、DSオートモビルズの3ブランドを扱うPSAジャパンを傘下に収める自動車グループのこと。
そのステランティス7ブランドの中で最も多い販売台数を記録したのがジープだ。ジープは2013年以来9年連続で販売台数を更新し、2021年は初めて1万4000台を突破した。
このジープブランド躍進を支えたのが、夏にマイナーチェンジを行い、2,651台を販売したコンパス。そして、販売開始4年目でも前年より1,200台近く多い6,931台を記録したラングラーの2モデルだ。
なかでも硬派なオフローダーのラングラーはジープブランドの中で最も人気の高いモデルで、グローバルで見ても、日本市場は上位に入るマーケットとなっている。
ここでは、販売開始から4年が経過しても人気が衰えない現行型ラングラーの最新中古車事情に迫る。
文、写真/萩原文博
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ボディを軽量化し快適性、燃費性能を向上
現行型ラングラーは11年振りにフルモデルチェンジを行い、2018年11月から販売開始された。現行型ラングラーのポイントは、これまで長年に渡って継承してきたスタイリングや世界観を変えることなく、走行性能、現在SUVに求められる快適性、安全性、燃費性能を大幅に向上させたことだ。
現行型ラングラーのデザインはルーツである、民間用ジープ「CJ-5」のデザインを反映。特にヘッドライトの内側が7スロットグリルにまで食い込んだデザインや大径のフロントフェイシアは色濃く残っている。
また、ヘッドライトおよびフォグライト、テールランプ、デイタイムランニングライトすべてをLED化し、シリーズ初のLEDライト搭載モデルとなった。
ボディパネルは、軽量かつ高強度の素材で構成。ドアパナルやフェンダー、ウインドーシールドフレームにはアルミニウムを採用。スイングゲートの骨格部分や内側パネルにはマグネシウムを用いて、車両重量の大幅な軽量化を実現した。
ラングラーの特徴であるフリーダムトップは、軽量化や取付けメカニズムの見直し、トップの取り外しが簡単に行えるようになっている。さらにトップ取り外し箇所のウェザーストリップを二重構造化し、ピラーに水抜きのドレーンパイプを組み込むなど雨漏れ防止対策を強化した。
インテリアは、エクステリアと同様に、「CJシリーズ」を彷彿させるデザインで、水平基調のダッシュボードを採用。スマートフォンとの連携を強化した最新世代のインフォテイメントシステム「Uconnect」を全車に搭載している。
ラングラーに搭載するパワートレインは、新開発の2L直4気筒直噴ターボと改良を加えた3.6L V型6気筒ペンタスターエンジンの2種類で、燃費性能向上のため、アイドリングストップ機構を両エンジンに採用。組み合わされるトランスミッションは全車8速ATとなる。
駆動方式は4×4と呼ばれる4WDシステムで、従来のパートタイム4×4に加え、ラングラー史上初となるフルタイムオンデマンド4×4システムを全車に採用した。
この4WDシステムは、「4H AUTO」モードを新たに備え、路面や天候状況に応じて駆動力を自動的に前後配分し、舗装路を含むあらゆる路面を安全かつ快適に走行可能。また、オフロードでは、フロードでは、「4H」または「4L」のパートタイムモードに切り替えることで、センターデフのロックが可能となり、強力なトラクションを発揮する。
さらに、現行型ラングラーの最小回転半径は、4ドアモデルは従来の7.1mから6.2m。2ドアモデルは従来の6mから5.3mへと大幅に取り回ししやすくなっている。
デビュー時のグレード構成は2ドアのスポーツ、4ドアのアンリミテッドスポーツ、アンリミテッドサハラローンチエディションの3グレードだった。2019年3月に2Lターボエンジンを搭載したアンリミテッドサハラ2.0Lを追加。翌4月にはラングラー最強のオフロード性能を誇るアンリミテッドルビコンが登場。
アンリミテッドルビコンは、悪路において強い駆動力を必要とする場面で有効な「ロックトラックフルタイム4×4システム」を装備。このシステムは専用の変速比が与えられた副変速機を持ち、ローレンジの変速比は通常の2.717から4.000にまで低レンジ化され、最終減速比も3.454から4.100へと変更されている。
これにより、これは岩場や凹凸のある急勾配路を、極低速で地を踏みしめるように進む場面で威力を発揮する。
2019年11月にはグレードごとに仕様や装備の変更を行い、2020年12月に装備と価格の変更、2021年8月にも価格の変更が行われている。また、台数限定の特別仕様車が頻繁に販売されているのが特徴だ。
現在ラングラーで販売されているモデルは4ドア車のアンリミテッドのみで、車両本体価格704万円のサハラ2.0Lターボと743万円のルビコン2.0Lターボの2種類だ。
中古車の高い残価率が人気車の証
それでは、ラングラーの中古車事情を見てみよう。現行型ラングラーの中古車は約137台流通していて、平均価格は約618.8万円となっている。中古車の価格帯は約429万~約1398万円だ。
グレード構成も頻繁に変更され、特別仕様車も数多くラインアップされているラングラーなので、中古車のグレードもバリエーションに富んでいるのが特徴。
最も多いのは、4ドア車のアンリミテッドサハラ3.6Lで価格帯は約500万~約676万円。続くのはデビュー時に設定されたアンリミテッドサハラローンチエディション。価格帯は約500万~約648万円。そしてアンリミテッドスポーツとなり、価格帯は約430万~約650万円だ。
現在、ラインアップから無くなっている2ドアのスポーツの中古車は約6台しかなく、価格帯は約500万~約520万円。2ドア、4ドアのアンリミテッドともに、ほとんど新社価格から値落ちしていない。
半導体不足によって新車の納車が遅延していることを考えると、現行型ラングラーの中古車相場はしばらくこのまま横這いで推移し、値落ちは考えにくい。2ドアのスポーツや3.6L V6エンジンを搭載したモデルはすでに新車では手に入らないので、相場が安定している今が狙い目だ。
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