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<p>読んだらお腹が空く!?「美味しいエッセイ本」。(Shizue Hamano)</p><p>美味しいものが食べたくなる、作りたくなる本をゆっくり読む、そんな読書タイムはいかが? 読んだらお腹が空く「美味しいエッセイ本」。(Shizue Hamano)</p><p>楽しい時間だったレストランでの食事に気をつかわないといけない毎日が続いて早1年。SNSをひらくと世界中の美味しそうな料理の数々がポップアップ。でも現実は、長引くステイホームとレストランの休業や時短で、家でご飯を作ることが負担になっている人が多いとも聞きます。それならば、食の楽しさを思い出すべく「美味しいを読もう!」ということで料理エッセイ本を本棚から選んでみました。</p><p>各国のレシピブックや世界の料理を巡る紀行モノなどがいつの間にか集まっていたので、ステイホーム中に本棚を整理。キレイな写真付きレシピ本よりも、物語のある「料理エッセイ」が今の気分です。 一冊目は読んだ事のある人も多いと思われる「巴里の空の下オムレツのにおいは流れる」と「東京の空の下オムレツのにおいは流れる」(共に石井好子著)。 シャンソン歌手でもある石井さんが経験したリアルな物語の中で登場するのは、マダムが作るバターたっぷりのオムレツや野菜たっぷりのポトフなどのフランスの家庭料理。東京版は「ロールキャベツはどこの国の料理問題」から始まり誰もが知っている各国の家庭料理が続々と。読んでいるだけでも盛り付けや味が想像できてしまうストーリーとエッセイの中で流れるゆったりとした時間の感覚も魅力です。登場する料理のレシピ集も出版されているらしいので、実際に作りたくなったら是非そちらも。 2冊目は、カバーのパイナップルケーキの写真がノスタルジックな「母のレシピノートから」(伊藤まさこ著)。 「母のレシピノート」をもとにグラタンやクラムチャウダーやパエリアなどの素朴な家庭料理が四季ごとに紹介されています。レシピも添えられていますが、このエッセイの主役は、家族や友人と囲む美味しい食卓まわりでのあたたかいエピソードの数々。紹介されている料理への想像が美味しく膨らむエピソードばかりです。因みにカバー写真のパイナップルケーキは、当時家に遊びに来ていた友人までもが知る大好きな家族の定番スイーツだったそう。 3冊目は、シニカルな目線がクセになる「悪女の美食術」(福田和也著)。 文芸評論家の福田先生は美食家でもあります。タイトルに「悪女」とあるようにほっこり感はゼロの食エッセイですが、読み終わると今まで少し億劫に感じていた一流店のコース料理(しかもパリの!)を食べたくなる不思議。旅行に行けない今、食+旅気分の現実逃避も味わえる一冊です。 また美味しいものが食べたくなる、作りたくなる本をゆっくり読む、そんな読書タイムはいかがですか?</p>